物理 力学 2019.4-2011 Yuji.W

☆ 歳差運動

回転軸の方向が変わる 地球の歳差運動 ジャイロスコープ precession nutation  

【ベクトル】ベクトル <A> 内積 * 外積 # |<A>|=A <A>/A=<Au>
【演算】積 * 商 / 10^x=Ten(x) ネイピア数 e 虚数単位 i e^(i*x)=expi(x)
【微積分】微分 ;x 時間微分 ;t 時間微分 ' 積分 $

【座標】デカルト座標 <xu>,<yu>,<zu>
円柱座標 (h,a,z _C) <Ah Aa Az _C> <hu>,<au>,<zu>
球座標 (r,a,b _S) <Ar Aa Ab _S> <ru>,<au>,<bu>
回転座標 <AxR AyR AzR _R> <xRu>,<yRu>,<zRu>       2019.4

〓 回転軸の方向を変える 〓 .

◎ 次のような剛体の回転を考える。

質量分布に対称性があり、ひとつの値で慣性モーメントが表される
回転軸の方向と角運動量の方向は一致している
・非常に小さな偶力を加え、回転軸の方向を変えようとする
・回転軸は非常にゆっくり変化させる
・回転軸の方向が変化すれば、角運動量の大きさも変化するのだが、その変化量は非常に小さくて、無視できるとし、角運動量の大きさは変化しないとする
・回転軸の方向が変化することによる、角運動量の方向の変化量を考える

◆ 剛体 慣性モーメント I

t=0 で 角速度 <w0>=-<xu>*w0 角運動量 <L0>=-<xu>*I*w0

トルク <N>=<zu>*N0 回転軸が変化する角速度 <Ω>

<Ω>#<L0>=<L>;t=<N> <Ω>=<yu>*N0/(I*w0)


〓 地球の歳差運動 〓 .

■ 地球の自転軸は、おおよそ、宇宙空間に対してある一定の方向を向いているのだが、わずかな歳差運動があり、その方向を少しずつ変えていく。

地球の公転面(太陽と地球を含む面):水平 鉛直上方向:北 鉛直上方向:南 とする。

地球の歳差運動の原因は、以下の2つである。

@ 地球は球体ではなく、赤道面が膨らんでいる 赤道半径 6378_km 極半径 6357_km 扁平率 1/298

A 地球の自転軸が公転面(太陽と地球を含む面)に対して傾いている。

太陽に近い側の引力が大きいから、@Aより、地球の自転軸を鉛直方向に近づけようとする偶力が働く。ただし、春分、秋分の頃は、そのトルクは働かない。夏至、冬至の頃にそのトルクは最大になる。{トルクの大きさが変化することに触れている一般向けの文献は見つからない!13.10}

地球は自転しているので、その方向に自転軸を変える事はなく、歳差運動を起こし、自転軸が水平方向に少しずつ方向を変える事になる。自転は東向き、自転軸を鉛直方向にしようとするトルクだと、その自転軸が西側にずれていく事になる。  

自転方向:北に対して右回り(東向き) 歳差運動:北に対して左回り(西向き)

歳差運動 周期 26000年 360/26000_°/年=360*60*60/26000~50_''/年

紀元前150年頃 ギリシャ ヒッパルコスが発見{すごいなあ!13.10}

章動 平均的な歳差運動からのずれ 1728年 イギリス ブラッドリーが発見

複数の周期がある 周期1 18.6年 月の軌道の変化による


〓 ジャイロスコープの歳差運動 〓 .

■ 両端を支えているとき ジャイロスコープが回転する自転エネルギーはあるが、ジャイロスコープ全体が動く並進運動エネルギーはない。角運動量は回転軸方向(水平)。

片方の支点を取った瞬間 その支点側が少しだけ下がる。重力の位置エネルギーを得て、運動エネルギーに変わる。角運動量の変化の方向は、回転軸の方向と重力の方向に垂直だから、横向きに変化する。回転軸が横向きに変わろうとする。重力エネルギーが横向きに動くエネルギーになる。

回転軸は、下に落ちつつ横にも動く。斜め下に動くことになる。さらに、重力エネルギーを得て、横向きに動く速さは早くなる。ついには、横向きに動く速さは、歳差運動の平均の速さより速くなる。その後、運動エネルギーは減っていき、位置エネルギーが増える、すなわち、上に戻っていく。ついには、最初に落ち始めた位置まで戻る。また下向きに落ち始める。以下繰り返しになる。

まとめると、サイクロイド曲線を球面上に曲げた線を動く。

※歳差運動の平均の速さを超えて、横向きに動くと、上向きの力が働くように観測される。なぜなのだろう。細かいプロセスがよくわからない。{!2013/9}

■ 歳差運動の角速度に応じた一定の速さで動く座標で観測すると、ジャイロスコープのこちら側の端は、円を描くように観測される。動きは、真後ろ、左斜め下、下、右斜め下、最も低い点(真下)を通過し、右斜め上、上、左上、で、戻ってくる。その繰り返し。

歳差運動の平均の動きの周りに、小さな円運動をする。  

 等速直線運動する系で観測した円運動は、静止系では、サイクロイド曲線になる。

■ ただし、実際のジャイロスコープでは、軸の部分での摩擦があるから、だんだん、サイクロイド曲線は小さくなり、ついには、水平に動くことになる。水平面は、初めの軸の位置よりは下がっている。下がった分の位置エネルギーが、歳差運動エネルギーになる。

★ z軸に対する慣性モーメント Iz=m*r^2+(1/4)*m*r^2=(5/4)*m*r^2

歳差運動をする分のエネルギー K
=(1/2)*I*W^2=(1/2)*(5/4)*m*r^2*W^2=(5/8)*m*r^2*W^2

そのエネルギーは、ジャイロスコープの重心が h だけ下がったことで得たとすると、

 m*g*h=K

 h=(5/8)*r^2*W^2/g~(5/8)*0.03^2*1^2/9.8
~6*Ten(-5)_m~0.06_mm


〓 ジャイロスコープの歳差運動 〓 .

◎ 回転軸が真横になっているジャイロスコープ(ジャイロ)の軸の端を支える。ジャイロスコープは落ちることない。水平方向にゆっくり方向を変えていく。

※ ジャイロは自転しつつ、その自転軸の方向を変えていく。その運動を記述するのは難しい。大胆な仮定を設定する。

◆ 一様な重力場 <g>=-<zu>*g

ジャイロスコープ 質量 m 慣性モーメント I 支点:原点 支点と質量の中心との距離 R

観測時刻での自転軸 x軸 角速度 <w>=<xu>*w
歳差運動の軸 z軸 角速度 <Ω>=<zu>*Ω ただし Ω<<w
角運動量 <L> トルク <N> 歳差運動の周期 T=2Pi/Ω

■ <N>=(<xu>*R)#(-<zu>*m*g)=<yu>*m*g*R

角運動量は自転の分だけ考えて <L>=<xu>*I*w

 <L>;t=<Ω>#<L>=(<zu>*Ω)#(<xu>*I*w)=<yu>*I*w*Ω

運動方程式 <L>;t=<N> より、

 <yu>*I*w*Ω=<yu>*m*g*R

 Ω=m*g*R/(I*w) T=2Pi/Ω=2Pi*I*w/(m*g*R)  


〓 {計算例}ジャイロスコープの歳差運動 〓 .

◆ ジャイロ m=100_g R=3_cm

自転の速さ 10_回/sec 自転角速度 w=2Pi*10=62.8_rad/sec

■ ジャイロは、質量がほとんど円盤にあるとして、

 I=(1/2)*m*R^2=(1/2)*0.1*0.03^2=4.5*Ten(-5)_kg*m^2

 T
=2Pi*I*w/(m*g*R)
=2Pi*4.5*Ten(-5)*62.8/(0.1*9.81*0.03)
=2Pi*4.5*Ten(-5)*62.8/(0.1*9.81*0.03)
=0.6_sec  
{こんなものかな!2015/7}

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