物理 特殊相対性理論  2017/8 Yuji.W

☆ 棒は短く見えるのか ☆

◎ 長さの短縮 「見える」と「観測される」の違い

☆ 10^x=Ten(x) exp(i*x)=expi(x) 微分 ; 時間微分 ' 積分 $ ベクトル <A> その単位ベクトル <Au> 座標単位ベクトル <x>,<y>,<z> 内積 * 外積 #

◇ ローレンツ変換 ◇

■【 ローレンツ変換 】

直線上の運動を考える 2つの慣性系 x系、X系 X系はx系の正の方向に、x系はX系の負の方向に、速さ v. で等速直線運動

ある事象(event)が起きた時間と位置を問題にする。
x系で (t,x) X系で (T,X)_X と表すことにする。
時間と位置を調整し、時刻 0 で原点は重なるとする。すなわち (0,0)⇔(0,0)_X

光速 c=3*Ten(8)_m 相対論的効果率 Γ(v./c)=1/root[1-(v./c)^2)]=Γ

一般の時刻と位置の関係は次のようになる(ローレンツ変換)

 t=Γ*(T+v.*X/c^2) x=Γ*(X+v.*T)

T と X で解きなおすと T=Γ*(t-v.*x/c^2) X=Γ*(x-v.*t)

■【 相対論的効果率 】Γ(0.1)=1.005 Γ(0.5)=1.155 Γ(0.1)=2.294

★ v.=1.5*Ten(8)_m v./c=0.5

ある事象をX系で観測したら T=1_sec X=3*Ten(8)_m であった。
すなわち (1sec , 3*Ten(8)_m)_X

x系で観測すると、時刻と位置はどうなるか ‖

 t=1.155*(1+1.5*Ten(8)*3*Ten(8)/[3*Ten(8)]^2)=1.733_sec

 x=1.155*[3*Ten(8)+1.5*Ten(8)*1]=5.198*Ten(8)_m

(1sec , 3*Ten(8)_m)_X ⇔ (1.733_sec , 5.198*Ten(8)_m)

※ 非相対論では

 t=1_sec x=3*Ten(8)+1.5*Ten(8)*1=4.5*Ten(8)_m

》(1sec , 3*Ten(8)_m)_X ⇔ (1_sec , 4.5*Ten(8)_m)

◇ 動く棒の長さを観測する ◇

◎ 長さ L0 の棒が、その長さの方向に速さ v. で等速直線運動をする。その長さを観測したい。次の2つの方法が考えられる。

方法@ 観測する系の同じ位置で、棒の先頭が通る時刻と、最後尾が通る時刻を観測し、計算して、棒の長さを求める。

方法A 観測する系の同時刻に、先頭の位置と最後尾の位置を観測する。

観測する系 x系 (t,x) 棒とともに進む系 X系 (T,X)_X

x系で観測される棒の長さ L

方法@  事象@ 棒の先頭が時刻 0 に両方の系の原点を通った (0,0) ⇔ (0,0)_X
事象A 棒の最後尾がx系の原点を通った x系で (t,0)
X系で T=L0/v. X=-L0 (L0/v.,-L0)_X

■ 事象Aのローレンツ変換

 t=Γ*(L0/v.-v.*L0/c^2)=Γ*(L0/v.)*[1-(v./c)^2]=Γ*(L0/v.)/Γ^2=L0/(Γ*v.)

x系の原点で、棒の先頭は時刻 0 に通過し、最後尾は t=L0/(Γ*v.) に通過する。

速さ v. で進んで、時間 L0/(Γ*v.) かかるのだから、

 L=v.*[L0/(Γ*v.)]=L0/Γ *_短くなる

方法A ◆ 事象@ 棒の最後尾が時刻 0 で両方の系の原点を通った (0,0) ⇔ (0,0)_X

事象A 棒の先頭の位置をx系の時刻 0 で観測する (0,L) ⇔ (T,L0)_X

■ 事象Aのローレンツ変換

 0=Γ*(T+v.*L0/c^2) L=Γ*(L0+v.*T)

T を消去すると L=Γ*L0*[1-(v./c)^2]=Γ*L0/Γ^2=L0/Γ *_短くなる

{まとめ} どちらの方法で考えても、動いている棒は短く観測される事がわかった。ただし、方法@では、観測する系の同じ位置で、棒の先頭が通る時刻と、最後尾が通る時刻を観測し、計算して、棒の長さを求めた、方法Aでは、観測する系の同時刻に、先頭の位置と最後尾の位置を観測して、棒の長さを求めた。実際に、一人の人が棒を見て、棒が短く見えるのかとは違う事に注意すべきである。見えるためには、事象が起きた所から観測者まで光が届かなくてはならない。時間がかかる。その時間差を考えると、実際に棒が単純に短く見えるわけではない。


◇ 動く棒はどう見えるか.近づいてくる場合 ◇

長さ L0 の棒が、その長さの方向に速さ v. で等速直線運動をする。観測者はx系の原点にいて、時刻 0 に棒の先頭が観測者の前を通過しているとする。棒の最後尾は x=-L0 にあるように見えるだろうか。そこでの情報はまだ観測者に届かない。時刻 0 に観測者に届く情報は、過去の棒の最後尾の位置である。原点からより遠い位置の情報が時刻 0 に観測者に届くのである。したがって、棒は長く見える{!} *_

◆ 観測者 x系 棒とともに進む系 X系 X系の原点に棒の先頭がある X系で棒の最後尾 X=-L0

事象@ 棒の先頭が時刻 0 に両方の系の原点を通った (0,0) ⇔ (0,0)_X
事象A x系で時刻 0 に観測者に届く、棒の最後尾の位置 -L
 観測者に届くのにかかる時間 t=L/c (-L/c,-L) ⇔ (T,-L0)_X

■ 事象Aのローレンツ変換

 -L/c=Γ*(T-v.*L0/c^2) -L=Γ*(-L0+v.*T)

T を消去して L=L0*Γ*[1-(v./c)^2]/(1-v./c)=L0*root[(1+v./c)/(1-v./c)]

》L=L0*root[(1+v./c)/(1-v./c)] *_長く見える

L/L0=(長さの短縮の効果)*(時間差の効果)
=(1/Γ)*(1+v./c)=root[(1+v./c)/(1-v./c)] と考える事もできる

{この件を扱っている資料は見当たらない!2017/8}

★ v./c=0.1 L/L0=root(1.1/0.9)=1.106

★ v./c=0.5 L/L0=root(1.5/0.5)=root3=1.732

★ v./c=0.9 L/L0=root(1.9/0.1)=root(19)=4.359


◇ 動く棒はどう見えるか.遠ざかる場合 ◇

長さ L0 の棒が、その長さの方向に速さ v. で等速直線運動をする。観測者はx系の原点にいて、時刻 0 に棒の最後尾が観測者の前を通過するとする。棒の先頭は x=L0 にあるように見えるだろうか。そこでの情報はまだ観測者に届かない。時刻 0 に観測者に届く情報は、過去の棒の先頭の位置である。原点により近い位置の情報が時刻 0 に観測者に届くのである。したがって、棒は短く見える{!} *_

◆ 観測者 x系 棒とともに進む系 X系 X系の原点に棒の最後尾がある X系で棒の先頭 X=L0

事象@ 棒の最後尾が時刻 0 に両方の系の原点を通った (0,0) ⇔ (0,0)_X
事象A x系で時刻 0 に観測者に届く、棒の先頭の位置 L
 観測者に届くのにかかる時間 t=L/c (-L/c,L) ⇔ (T,L0)_X

■ 事象Aのローレンツ変換

 -L/c=Γ*(T+v.*L0/c^2) L=Γ*(L0+v.*T)

T を消去して L=L0*Γ*[1-(v./c)^2]/(1+v./c)=L0*root[(1-v./c)/(1+v./c)]

》L=L0*root[(1-v./c)/(1+v./c)] *_短く見える

L/L0=(長さの短縮の効果)*(時間差の効果)
=(1/Γ)*(1-v./c)=root[(1-v./c)/(1+v./c)] と考える事もできる

{この件を扱っている資料は見当たらない!2017/8}

★ v./c=0.1 L/L0=root(0.9/1.1)=1/1.106=0.904

★ v./c=0.5 L/L0=root(0.5/1.5)=1/root3=1/1.732=0.577

★ v./c=0.9 L/L0=root(0.1/1.9)=1/root(19)=1/4.359=0.229


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