☆ 理想気体.準静的過程 ☆

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〇 準静的過程 quasi static process  可逆過程 reversible process  2011.11 , 16.6 , 24.4    Yuji.W

◇ 2*3=6  Ten(3)=10^3=1000  微分 ;  偏微分 :  積分 $  e^(i*x)=expi(x)
ベクトル <A>  縦ベクトル <A)  単位ベクトル <xu>  内積 *  外積 #   000 

〓  気体  〓  《理想気体24.4

● 圧力  パスカル 1_Pa=1_N/m^2  ヘクトパスカル 1_hPa=100_Pa

{定義} 気圧 1_atm=101325_Pa=1013.25_hPa~1.003_kg重/cm^2

..  1_atm*l=101.325_J  1_J=1_Pa*m^3=1000_Pa*l~9.8692*Ten(-3)_atm*l

● 絶対温度 a_K  セルシウス度 b_℃  のとき  a=b+273.15 {定義}

● アボガドロ定数 NA=6.022140*Ten(23)_個/mol {定義値}
ボルツマン定数 kB=1.380649*Ten(-23)_/K {定義値}

気体定数 R=NA*kB~8.314462_J/(K*mol)~8.205736*Ten(-2)_atm*l/(K*mol)

標準気体  273*R~2270_J~22.40166_atm*l/mol

〓  理想気体の状態方程式と内部エネルギー  〓 《理想気体.状態方程式24.4》  

● アボガドロ定数 NA  ボルツマン定数 kB  気体定数 R=NA*kB

▢ 理想気体  圧力 P  体積 V  絶対温度 T  分子数 N’  モル数 N

並進運動エネルギー Kt  内部エネルギー U

比熱比 Γ  単原子分子 Γ=5/3  2原子分子 Γ=7/5  3原子分子,光子 Γ=4/3 

▷ 次の3つの等式が成り立つ

① P*V=(2/3)*Kt  ② Kt=(3/2)*N'*kB*T=(3/2)*N*R*T  ③ Kt/U=(3/2)*(Γ-1) 

⇒  P*V=N'*kB*T=N*R*T=(Γ-1)*U   

※ ②の式は、別に考察を要する。「温度」の定義とも関連する。

〓  熱力学  〓  

〇 1モルの理想気体をピストンに詰める。以下のような条件がある。

① 気体は化学変化をしないし、相転移も起こさない。分子数は変わらない。

② ピストンは、非常に薄くできていて、これから考える熱の計算には、影響を与えない。

③ 熱源と接触していて、気体の温度をコントロールできる。熱源から気体に熱を与える事ができるし、熱を奪う事もできる。

④ 外気圧の圧力をコントロールできる。

⑤ 気体は膨張する事で、外部に仕事をする。エネルギーを失う。逆に、外部から気体に仕事をし、エネルギーを与える事ができる。

⑥ エネルギーは、ピストンの動きの摩擦などに使われる事はなく、保存される。

⑦ 気体の内部エネルギーは、気体の運動エネルギーのみだけ考える。また、

..  (内部エネルギー) ∝ (絶対温度)    とする

♡ 以上のような条件をはっきりさせないで、話を進める教科書が多いから、わからなくなる{!}

〇 気体が得る熱量 Qin  気体が外部にする仕事 Wout  気体の内部エネルギーの変化量 ΔU

エネルギー保存  ΔU=Qin-Wout    熱力学の原理.第1法則

〓  可逆過程,準静的過程  〓  

〇 気体の状態を変化させるときに、次のような条件をつけて変化させる。そーと、無限の時間をかけて変化させるというイメージでよい。

可逆過程(準静的過程)  ほぼ平衡(つり合っている)の状態での変化、過程。逆向きの過程も成り立つとする。次のような場合である。

① 熱源と気体の温度が等しい。
② ピストン内の気体の圧力と、外部の大気圧と、外力(重りなど)による圧力との和が等しい。

ただし、そうすると、①では、熱の移動が起きない。②では、ピストンは動かない。何の変化も起きない。それでは困るので、以下のように、準静的過程を考える。

例えば、ほんの少しだけ、熱源と気体の温度差をつける。温度の高い方から低い方へ、無限の時間をかけて、熱が移動する。
また、ほんの少しだけ、圧力の差をつける。無限の時間をかけて、ピストンが移動する。

▲ 可逆過程と準静的過程は同じものであるように思えるが、準静的過程で変化したのにもかかわらず、不可逆になる場合があるらしい{!2024.4}    

〇 自然界で起きる自発的な過程は、不可逆過程である。過程中は、考えている系内が均一になっているわけではなく、状態方程式は成り立たない。     

〓  気体がする仕事  〓  

状態量 系の状態が決まれば、一義的に定まる量

▢ 気体  体積 V  圧力 P 

微少量 dV に対して  V~V+dV  膨張  気体が外部にする仕事 δW
※ 仕事は状態量ではなく、完全微分できないので、微少量を δW で表す

▷ (仕事)
=(力)*(動いた距離)
=(圧力)*(断面積)*(動いた距離)
=(圧力)*(断面積*動いた距離)
=(圧力)*(増えた体積)

..  (仕事)=(圧力)*(増えた体積)

≫  δW=P*dV   

以下、次の3種の可逆過程(準静的過程)を考える。

① T=一定  ② V=一定  ③ P=一定

状態方程式の3つの変数 P,V,T のうち、1つが定数の場合を考えている。残りの2つの変数の関係は比例か逆比例になる。例えば ${P*dV} を簡単に求める事ができる。

〓  理想気体.準静的等温膨張  〓  

〇 気体を膨張させる。気体は外部に向かって仕事をする。そのままでは気体の内部エネルギーが減少し温度が下がってしまうので、熱源(温度 T)に接触させ、温度を一定に保つ。
圧力は減っていくので、外部の圧力もそれに合わせて減らす。

▢ 1モルの理想気体  温度一定

準静的等温膨張 [P1,V1,T0,U0] ⇒ [P,V,T0,U0] ⇒ [P2,V2,T0,U0] 

状態方程式 P1*V1=P2*V2=R*T0=(Γ-1)*U

気体が外部にした仕事 Wout  加えられた熱量 Qin=Wout

▷ Wout
=${P*dV (V|V1~V2)}
=R*T*${dV/V (V|V1~V2)}
=R*T*{ln(V)] (V|V1~V2)}
=R*T*ln(V2/V1)

≫  Qin=Wout=R*T0*ln(V2/V1)    1モルの理想気体.準静的等温膨張

★ 1モル T=273  V2/V1=2 ⇒ Qin=Wout=2270*ln(2)~1570_J

〓  理想気体.準静的定積変化  〓  

〇 膨張しない。気体は外部に仕事をしない。気体に熱を加えれば、その分、気体の温度は上がる。気体から熱を奪えば、その分、気体の温度は下がる。

▢ 1モルの理想気体  [P1,V0,T1,U1] ⇒ [P,V0,T,U] ⇒ [P2,V0,T2,U2]  ΔU=U2-U1

状態方程式 P1*V0/T1=P2*V0/T2=R  P1*V0=P2*V0=(Γ-1)*U

加えられた熱量 Qin=ΔU

▷ Qin=ΔU=(P2-P1)*V0/(Γ-1)=R*(T2-T1)/(Γ-1)   

▷ 1モルあたりの定積比熱 Cv=Qin/(T2-T1)=R/(Γ-1)   

..  Qin=ΔU=Cv*(T2-T1)   

〓  理想気体.準静的定圧膨張  〓  

〇 圧力が一定のまま膨張させる。当然、温度は上がる。熱源の温度も上げる。

▢ 1モルの理想気体  [P0,V1,T1,U1] ⇒ [P0,V,T,U] ⇒ [P0,V2,T2,U2]  ΔU=U2-U1 

状態方程式 P0*V1/T1=P0*V2/T2=R  P0*V1=P0*V2=(Γ-1)*U

気体が外部にした仕事 Wout  加えられた熱量 Qin  ΔU=Qin-Wout

▷ Wout=P0*(V2-V1)=R*(T2-T1)

..  ΔU=P0*(V2-V1)/(Γ-1)=R*(T2-T1)/(Γ-1)

..  Qin
=Wout+ΔU
=R*(T2-T1)+R*(T2-T1)/(Γ-1)
=R*(T2-T1)*[1+1/(Γ-1)]
=R*(T2-T1)*Γ/(Γ-1)

≫  Qin=R*(T2-T1)*Γ/(Γ-1)   

..  Wout=Qin*(Γ-1)/Γ  ΔU=Qin/Γ

▷ 1モルあたりの定圧比熱 Cp=Qin/(T2-T1)=R*Γ/(Γ-1)=Γ*Cv  

..  Cp/Cv=Γ   Γ を「比熱比」と呼ぶ

..  Qin=Cp*(T2-T1)=Cv*(T2-T1)*Γ   

..  Wout=Qin*(Γ-1)/Γ=Cp*(T2-T1)*(Γ-1)/Γ=Cv*(T2-T1)*(Γ-1)   

..  ΔU=Qin/Γ=Cp*(T2-T1)/Γ=Cv*(T2-T1)    Cp ではない

♡ わかってなかった{!2024.4}

〓  理想気体.準静的過程(可逆過程)  〓 《理想気体.準静的過程24.4

● 1モルあたりの定積比熱 Cv=R/(Γ-1)  1モルあたりの定圧比熱 Cp=R*Γ/(Γ-1)
..  Cp/Cv=Γ 比熱比  Cp-Cv=R
単原子分子 Γ=5/3  2原子分子 Γ=7/5  3原子分子や光子 Γ=4/3

〇 1モルの理想気体  準静的過程

① 温度一定  Qin=Wout=R*T0*ln(V2/V1) 

② 体積一定  1モルあたりの定積比熱 Cv=Qin/(T2-T1)=R/(Γ-1) 

..  ΔU=Qin=Cv*(T2-T1)=(P2-P1)*V0/(Γ-1)=R*(T2-T1)/(Γ-1) 

③ 圧力一定 

1モルあたりの定圧比熱 Cp=Qin/(T2-T1)=R*Γ/(Γ-1)=Γ*Cv  比熱比 Γ=Cp/Cv 

..  Qin=Cp*(T2-T1)=Cv*(T2-T1)*Γ 

..  Wout=P0*(V2-V1)=R*(T2-T1)=Cv*(T2-T1)*(Γ-1) 

..  ΔU=Cv*(T2-T1) 

〓  {計算例}理想気体.任意の準静的変化(可逆変化)  〓  

▢ 1モルの理想気体(2原子分子)  比熱比 Γ=7/5  準静的変化(可逆変化)

..  [1_atm 22.4_l 273_K] ⇒ [0.2_atm 224_l 546_K]

次の3種類の過程を考える。

① 定温過程と定積過程  ② 定圧過程と定積過程 

③ 定温過程と定圧過程
..  [1_atm  22.4_l  273_K] ⇒ [0.2_atm  112_l  273_K] ⇒ [0.2_atm  224_l  546_K]

● 273*R=22.4_atm*l   273*Cv=273*R*(5/2)~56.0_atm*l 
..  273*Cp=(7/5)*Cv=273*R*(7/2)~78.4_atm*l

▷ ① 定温過程と定積過程
[1_atm  22.4_l  273_K] ⇒ [0.1_atm  224_l  273_K] ⇒ [0.2_atm  224_l  546_K]

..  ΔU=0+Cv*(546-273)=273*Cv~56.0_atm*l

..  Wout=R*273*ln(224/22.4)+0~22.4*2.303~51.6_atm*l

..  Qin=R*273*ln(224/22.4)+Cv*(546-273)~51.6+56.0=107.6_atm*l

⇒  Qin-Wout=107.6-51.6=56.0_atm*l=ΔU   

▷ ② 定圧過程と定積過程 
[1_atm  22.4_l  273_K] ⇒ [1_atm  224_l  2730_K] ⇒ [0.2_atm  224_l  546_K]

..  ΔU=Cv*(2730-273)+Cv*(546-2730)=Cv*273~56.0_atm*l

..  Wout=1*(224-22.4)+0=201.6_atm*l

..  Qin=Cp*(2730-273)+Cv*(546-2730)=78.4*9-56.0*8=705.6-448=257.6_atm*l

⇒  Qin-Wout=257.6-201.6=56.0_atm*l=ΔU   

▷ ③ 定温過程と定圧過程

[1_atm  22.4_l  273_K] ⇒ [0.2_atm  112_l  273_K] ⇒ [0.2_atm  224_l  546_K]

..  ΔU=0+Cv*(546-273)=273*Cv=56.0_atm*l

..  Wout
=R*273*ln(112/22.4)+R*(546-273)
=22.4*ln(5)+22.4
=36.1+22.4
=58.5_atm*l

..  Qin
=R*273*ln(112/22.4)+Cp*(546-273)
=22.4*ln(5)+78.4
=36.1+78.4
=114.5_atm*l   

⇒  Qin-Wout=114.5-58.5=56.0_atm*l=ΔU   

▲ 熱や仕事は過程によって変化する量、エネルギーは過程によって変化しない量である。

どの過程でも  Qin-Wout=ΔU  は成り立っている。

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