物理 力学

2015/12-2012/12 Yuji.W

スイングバイ

◎ ロケットを太陽系内で飛ばす。惑星の側を通り、惑星の公転速度を利用すると、ロケットの速さを増すことができる swing-by

〔表記〕ベクトル<> 座標単位ベクトル<xu>,<yu>,<zu> 内積* 外積#〔物理定数
微分 y;x 2階微分 y;;x 
時間微分 y' 積分 ${f(x)*dx} 定積分 ${f(x)*dx}[x:a~b]
累乗 ^ 10^x≡Ten(x) 1/x≡Over(x) exp(i*x)≡expi(x) 複素共役 z!
.2015/11/13

◇惑星の公転速度、宇宙速度◇

「太陽系の惑星」

水星

金星

地球

火星

木星

土星

単位

質量

0.3

4.9

6

0.6

1900

570

*Ten(24)_kg

太陽からの距離

0.4

0.7

1

1.5

5.2

9.6

/[6*Ten(11)]_m

公転速度

48

35

30

24

13

10

km/sec

■ 宇宙速度 それぞれに必要な、地球表面上での速さ(最初だけ加速し、後は、重力に任せて運動する場合)

第1宇宙速度 地球の周りを円運動 回転半径>地球の半径 7.9_km/sec

第2宇宙速度 地球を1つの焦点とする双曲線 11.2_km/sec

第3宇宙速度 太陽を1つの焦点とする双曲線 16.7_km/sec

◇スイングバイ◇

◆ ロケットが惑星に近づき、そして、離れて行く運動を考える。惑星を、1つの焦点とする双曲線を描く。

十分遠方での始めの速さ v1 十分遠方での終わりの速さ v2

■ 質量の中心系~惑星の中心

惑星に近づくにつれ、引力に引かれ、速さは増す。だが、遠ざかるときは、引力に逆らうわけだから、速さは遅くなる。結局、

 v1=v2  速さは変化しない。

■ 惑星は、ロケットの数倍の公転速度を持っている。太陽系の座標で考えると、その公転速度のベクトルが加わり、v1<v2 とすることができる。

■ ボイジャー2号の速さ 地球を出発 36_km/sec

木星で 10_km/sec->21_km/sec 土星で 16_km/sec->24_km/sec

それぞれ、公転速度~10km/sec 程度を得ていることがわかる。 

◇軌道の曲がる角度◇

「ケプラー問題-双曲線」

◆ 中心力 F(r)=-k/r^2 角運動量 h=m*r^2*a' 通径 l=h^2/(k*m)

 エネルギー E=(1/2)*m*r'^2+(1/2)*h^2/(m*r^2)-k/r

 離心率^2=e^2=1+2*E*h^2/(m*k^2)

 E=(e^2-1)*(1/2)*m*(k/h)^2

■ 軌道方程式 l/r=1+e*Ca

◆ k>0 & e>1 で双曲線

■ A=l/(e^2-1) >0 B=l/root(e^2-1) >0 f=e*l/(e^2-1) >0

 (x-f)^2/A^2-y^2/B^2=1 マイナス側の焦点が原点

■ 焦点 f-,f+ 漸近線の交点 X x切片 x+,x-

 並んでいる順 f- x- X x+ f+

 s(f<->X)=f=root(a^2+b^2)=[e/(e^2-1)]*l

 s(x<->X)=A=[1/(e^2-1)]*l

 s(f<->x)=r_min=f-A=[1/(e+1)]*l

■ 漸近線がx軸と成す角 a_∞ tan(a_∞)=root(e^2-1)

◆ 双曲線の漸近線と焦点との距離=侵入距離 b

 b=s(f<->X)*sin(a_∞)=[e/(e^2-1)]*l*sin(a_∞)

侵入速度 v 惑星の質量 M 重力定数 G

離心率 e を、b,v で表そう。

■ k=G*M*m E=(1/2)*m*v^2 h=m*b*v

 l=m^2*b^2*v^2/(G*M*m^2)=b^2*v^2/(G*M)

 E*h^2/(m*k^2)=(1/2)*m*v^2*m^2*b^2*v^2/(G^2*M^2*m^3)
=(1/2)*[b*v^2/(G*M)]^2

離心率^2=e^2=1+2*E*h^2/(m*k^2)=1+[v^2*b/(G*M)]^2

 root(e^2-1)=b*v^2/(G*M) 

■ tan(a_∞)=root(e^2-1)=b*v^2/(G*M)

■ 漸近線がx軸と成す角 a_∞ 軌道が曲がる角度 a_bend

 a_bend=Pi-2*a_∞ a_∞=Pi/2-a_bend/2

tan(a_∞)=tan(Pi/2-a_bend/2)=1/tan(a_bend/2) だから、

 tan(a_bend/2)=1/root(e^2-1)=G*M/(b*v^2) 

近ければ、大きく曲がる。(引力の影響が大きいから)

ロケットの速さが早ければ、曲がる角度は小さい。(影響を受ける時間が短いから)

☆運動量保存☆

スイングバイでどのぐらいの速さを得ることができるか、1次元の衝突と見なして、見積もってみよう。

● 衝突1次元

 \v1=[(m1-m2)/M]*v1+2*(m2/M)*v2

 \v2=2*(m1/M)*v1+[(m2-m1)/M]*v2

◆ 侵入距離 b が十分小さいとき、軌道が曲がる角度 a_bend=180°

衝突して跳ね返されると見なすことができる。

 惑星[質量 m2 公転速度 v2 衝突後の速さ \v2]

 ロケット[質量 m1 衝突前の速さ v1 衝突後の速さ \v1] m1<<m2

■ \v2=v2 惑星の速さは変化しない

 \v1=-v1+2*v2=(ロケットの元々の速さ(向きは逆))+2*(惑星の公転の速さ) 

▲ 木星でスイングバイすれば、最大 26_km/sec の速さを得ることができる。

  スイングバイ  

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