☆ 角速度ベクトルの謎 ☆

お勉強しよう 力学 剛体の力学

〇 角速度ベクトルはベクトルなのか? 合成、分解はできるのか?  2022.9-2013.1 Yuji.W

◇ 2*3=6 Ten(3)=10^3=1000 微分 ; 偏微分 : 積分 $ e^(i*x)=expi(x)
ベクトル <A> 単位ベクトル <xu> 内積 * 外積 # 

〓 にせベクトル 〓 

〇 空間の反転に関して、普通のベクトルとは異なる性質を持つベクトルを、「にせベクトル」、「スードウベクトル」、「擬ベクトル」、「軸性ベクトル」と呼ぶ。

角速度、角運動量、磁場などは、「にせベクトル」である。空間の反転が出てきた場合は、注意を要する。  

※ 「にせベクトル」に関しては、以下出てこない。

〓 回転による変位 〓 

〇 3次元デカルト座標 (x,y,z) 半径 1 の球面上の点の移動を考える

 ① 点 P(0,1,0) を、x軸の周りに90°回転移動させる (0,0,1) に移る

 ② さらに、y軸の周りに90°回転移動させる (1,0,0) に移る 

移動の順番を変えてみる。

 ① 点 P(0,1,0) を、y軸の周りに90°回転移動させる
 点 P は回転軸上にあるから、移動しない (0,1,0) のまま

 ② さらに、x軸の周りに90°回転移動させる (0,0,1) に移る

移動の順番を変えると、異なる位置に移る。回転による変位をベクトルで表す事はできない。  

▲ 微小変位を考えると、移動の順番が違っていても、同じ結果になる

〓 角速度ベクトルはベクトルなのか? 〓 

◎ 角速度ベクトルの合成や分解はできるのか?

〇 角速度ベクトル <w>=<xu>*w+<yu>*w を考える。

 |<w>|=√2*w (回転周期)=2*Pi/|<w>|=Pi*√2/w 
 回転軸の方向 x軸とy軸の間の斜め45°の直線

一方、<xu>*w は、x軸の周りを、周期 2*Pi/w で回転する。
また、<yu>*w は、y軸の周りを、周期 2*Pi/w で回転する。

その2つの回転を合成すると、<w>の回転になるのだろうか?周期も変化するのだろうか?  

▲ 角速度ベクトルの合成、分解は、考えてはいけないような事を言っている資料もあった。{22.9!}

〓 角速度ベクトルの合成 〓 

▢ 地球の表面上での移動を考える。地球の半径 R

3次元デカルト座標 (x,y,z)
鉛直方向 y軸 水平面(赤道面) xz平面 手前側 z軸 右側 x軸

大陸は沈み、海だけになってしまった。
海流は、自転軸の周りを、角速度 w=2*Pi_rad/day で移動している。
海流の角速度 <yu>*w

風がx軸の周りを、角速度 w=2*Pi_rad/day 吹いている。
風の角速度 <xu>*w

船が、海流に乗り、風の力を受け、移動する。移動する速さは、海流や風と同じだとする。北極 (0,R,0) を出発した船がどう移動するだろうか。

▷ 北極では海流の影響を受けない。風だけの力を受け、南へ向かって、速さ R*w で移動する。

少し緯度が下がったから、少しだけ海流の影響を受け、横向きに移動する、

横向きに移動したから、風の影響は少しだけ少なくなる。斜め右下に向け移動する。速さは、海流と風の効果を合わせ、速さ R*w で移動する。

以上の事を繰り返し、赤道 (R,0,0) に到達する。海流の効果は最大で、風の効果はない。

少しずれると、風が北極に向かう効果が出てくる。南半球には向かわず、北半球のみで、北極に向かう事になる。速さは R*w

北極に戻ってくる。

結果、

回転軸 x軸とy軸の間 45°傾いた直線 移動の速さ R*w 回転半径 R/√2

 (回転周期)=2*Pi*(R/√2)/(R*w)=√2*Pi/w=√2*Pi/(2*Pi)~0.707_day 短くなった{!}

 (角速度)=2*Pi/(回転周期)=2*Pi/(√2*Pi/w)=√2*w

 <船の動きの角速度>=[(<xu>+<yu>)/√2]*√2*w=(<xu>+<yu>)*w  

海流の角速度 <yu>*w 風の角速度 <xu>*w の和になっている。

角速度ベクトルの合成、分解が成り立っている{!}  

{50年ぐらい悩んでいた事が解決できた!22.9}

〓 空間上の回転の合成 〓 

空間上の回転の合成を考えるうえで大事な事は、回転軸が空間上固定されているのか、回転軸自体が移動していくのかをはっきりさせる事だ。

x軸とy軸が空間上固定されていて、それらの回転を考えたのが、上記の船の移動だ。

y軸自体がx軸の周りを回転する場合を考えるのが、以下の「1回転1ひねり」の問題である。

〓 1回転1ひねり 〓 

〇 体操競技で「1回転1ひねり」というような技がある。空中で1回転する間に、体を1回ひねるのである。

地球が「1回転1ひねり」をしたら、どう動くのだろう。自転軸は、空間上固定されているわけではなく、自転軸自体が1回転するのが核心である。

地球が自転軸の周りの1回転する間に、その自転軸が水平軸の周りを1回転する場合を考える。
北極が最初手前に来るように回転させ、順に、真下、真後ろ、元に戻るように回転する。そのときに、同じ角速度でひねりも加える、すなわち、普通の地球の自転も加える。1回転1ひねりである。45度ずつ、半回転させた図を作ってみた。北極、インドあたり、太平洋の真ん中が、どう移動するかを示した。

 

 

▷ 北極 は、自転軸上にあるから、自転の影響は受けない。縦に1回転するだけである。
手前、さらに真下に移動する。

インド は、自転がなければ南極の位置にいくが、ひねりが加わるので、下右寄りに移動したあと、右横にいく。そのあと、やや上を通りながら、元に戻ってくる。(さらにこのあとは、左下を通り、左横に行き、戻って来る。全体として、8の字を描く。)

太平洋 は、単純に円運動をするように動き、真上、左横へと移る。

♡ 球を実際に手に持って、表面に印をつけ、回転&ひねり を何回も繰り返しやらないと、本当にはわからない。大雪の中、1日中試してみたら、わかってきた。最初に気がついたのは、最初、ハワイあたりが全然動かないという事だった。でも、どんどん動かすと、そのハワイも動いてしまう。しばらくしたら、動かない点(合成ベクトルの軸になる点)が、順々に動いていく、そして、円を描くのだと、わかっった。{!2013/1/14}

▷ (自転軸が水平軸の周りに90°回転)+(自転軸の周りに90°回転)

 太平洋 右-右-上 インド 手前-下-右 北極 上-手前-手前

回転の順番を変える。

 (自転軸の周りに90°回転)+(自転軸が水平軸の周りに90°回転)

 太平洋 右-奥-上 インド 手前-右-右 北極 上-上-手前

2つの回転の順番を変えても、変位した位置は同じ。(自転軸での回転) と (その自転軸が回転する) という操作は、ベクトルで表す事ができる。  

▷ 角速度ベクトルの動き

地球の自転軸(↑)が、真上から徐々に手前に、さらに、下の方に移動する。その動きを表す角速度ベクトルは、 ⇒ である。方向も大きさも変わらない。

その動きをしつつ、自転軸(↑)でも回転する。その角速度ベクトルは、↑←↓である。自転を示す角速度ベクトルは、その方向を変えていく。

▷ 2つの角速度ベクトルを合成したのが、合成角速度ベクトル↑である。

始めは、右斜め45°を向いている。地表面で言えば、ハワイあたりか、そこが回転軸になる。そこは、最初は動かない。(動かないのは、最初だけ。)

角速度ベクトルは、→は変化しないが、自転を表す角速度ベクトル↑は、その向きを変えるので、合成ベクトルも、右斜め上手前、右横手前、右斜め下手前、右斜め下45°と向きを変える。

地球の回転&ひねりは、この動いていく合成ベクトルの周りの回転で表されている。  

合成角速度ベクトルは、円錐を描きぐるっと1周する。

▲ 「回転&ひねり」という複雑な動きも、1つの、角速度ベクトルで表すことができるのがわかった。ただし、その角速度ベクトル自身も、回転するというわけだ。

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