◎ 薄膜の干渉や回折を、量子電磁力学(経路積分)で考えよう。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◇ベクトル<> 座標単位ベクトル<xu>,<yu>,<zu> 内積* 外積# |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 水の波の干渉と、光の干渉は、全く違うものだ。そこを理解しないと、光の干渉の不思議さ、本質はわからない。 光の干渉を、波の干渉で説明してあったり、さらには、干渉を起こすから光は粒子ではない、波であると説明してあるモノが多い。確かに、100Wの電球からは、1秒間に Ten(20)_個 程度の光子が飛び出している。多数の光子を扱う場合は、光を波とする近似でよい。 だが、光子の数を極端に少なくしても干渉は起きるのだ。そこが、光の不思議な所だ。光子ひとつひとつがどうふるまっているのかを考えるには、量子電磁力学(経路積分)が必要である。 ■ 普通の波 観測点で、波の高さが周期的に変化する。波の位相(高くなったり、低かったり)は観測できる。2つの波が重なれば、高め合う場合もあるし、低め合う場合もある。 ■ 量子力学的粒子(光子、電子など) 放射する光の強さをだんだん弱くする。光子が時間間隔をおいて出るようになる。光子ひとつずつのエネルギーは弱くなることはない。だんだん光子の数が少なくなっていくだけである。観測点を通過する粒子の数が、周期的に多くなったり、少なくなったりするわけではない。観測にかかる物理量で、周期的に変化するものはない。確率振幅の位相は、観測することはできない。 ああ、それなのに、 複数の粒子が重なり合うとき、どちらの粒子がどちらの経路を通ったかわからない場合、干渉を起こす。ある特定の観測点には、全く粒子が来ない、他のある観測点には、より多くの粒子が来るなどという事が起きる。-★- {不思議!} ただし、どちらの粒子がどちらの経路を通ったかをはっきりさせると、干渉は起きなくなる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 屈折率 N の媒質中では、光の速さや波長が 1/N 倍になる。 ■ 屈折率 光の速さ/c ガラス(屈折率
1.46) 0.68 倍 ガラス(屈折率 1.5) 2/3 倍 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■
屈折率小の媒質を進む光が、屈折率大の媒質で反射する場合 屈折率大の媒質を進む光が、屈折率小の媒質で反射する場合 ■ 反射率=反射される光子の確率=反射されるエネルギーの割合 ■ 屈折率 N1 の媒質と、屈折率 N2 の媒質の間における、垂直光に対して、 反射率=[(N1-N2)/(N1+N2)]^2-★- ■ 次の2つの場合の反射率は変わらない{おもしろい!} 屈折率小の媒質を進む光が、屈折率大の媒質で反射する場合 □反射率 ガラス(屈折率1.46)=0.035 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆ ある媒質の中に、違う媒質の薄い平行板を入れ、面に垂直に単色光を当てる。2つの境界面により反射された光は、干渉する。 ■ 屈折率小の媒質の中に、屈折率大の媒質の板を入れても、屈折率大の媒質の中に、屈折率小の媒質を入れても、片方の境界面では、(pi)だけ位相が逆転し、もう一方の境界面では、位相は変わらない。板の中の光の波長を λ とすると、 経路差
∝ λ のとき、反射される光の確率は 0 {注}経路差=2*平行板の厚さ ▲ 単色光でなく、波長の異なる可視光の場合 経路差が大きくなるほど、その条件を満たす波長の数は増える。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ ガラス(屈折率1.5 反射率4%)の薄膜に上から垂直に光を当てる。100個の光子を打ち込んだとしよう。 上面で 4個の光子が反射される。残りの96個がガラス内に入り、下面に達する。そのうちの 4%の光子が反射される。すなわち、3.8個がもとに戻って来る。残りの92.2個だけ、ガラスの薄膜を通過する。ガラスの薄膜の透過率は、92.2%である。 以下、下面で反射された光子の数3.8個を、4個として表す。 上面と下面で反射された光子は合わさり、8個もとに戻って行くのだろうか。 光子は、どちらの面で反射されたか区別がつかない。したがって、干渉が起こる。薄膜の厚さにより、 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▲ 波長~Ten(-6)_m 1cm~10000*波長 ◆ 経路差 Δ=2*薄膜の厚さ ■
上面で反射される光子の確率振幅 下面で反射される光子の確率振幅 2つの経路による光子が重ね合うと、確率の和ではなく、確率振幅の和を考えて、 {Pa(x,t)}={Pa1(x,t)}+{Pa2(x,t)} □Δ=λ/4 {Pa(x,t)=0.2*expi(k*x-w*t)*{-1} |{Pa(x,t)|^2=0.04 以下、繰り返し。 ▲ 反射率=0 のとき、すべての光子は薄膜を通り抜ける{!} |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◆ 薄膜の上方から光を当てる。上方には、どのくらい反射されるのか。下方にはどれだけ透過するのか。干渉がない場合を、詳しく計算してみよう。 1回の反射率 r=0.04 透過率 t=0.96 r+t=1
■ 薄膜の上面で上方に戻る確率 R R=r+r*t^2+r^3*t^2+r^5*t^2+… 薄膜の下面から下方に透過する確率 T T=t^2+r^2*t^2+r^4*t^2+…=t^2*(1+r^2+r^4+…) ▲ R+T=(1+r)/(1+r)=1 {素晴らしい!} □R=2*0.04/1.04=0.077~0.08 T=0.96/1.04=0.923~0.92 ▲ 詳しく計算しても、あまり意味がない。単純に 反射8% 透過92% と考えてよいことがわかる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎ ガラスの薄膜による光の反射の干渉を量子電磁力学(経路積分)で考えよう。 ◆ 経路差 Δ 薄膜の厚さ d Δ=2*d ● 以下のように近似した。「光は、表面と裏面の2ヶ所で反射する。表面では、位相が180°反転する。」 d=λ/4 Δ=λ/2 |{Pa(x,t)|^2=0.16=最大 84%
は通過する。 ■
量子電磁力学(経路積分) 光は、薄膜のあらゆる所で反射すると考える。 ■ d=λ/4 Δ=λ/2 の場合
▲
確率振幅の方向は、時計で表現すれば、 {注}本当は、経路差に比例した時間の分だけ早めに光子が放出され、光子が計測点に同時刻に戻ってくる状況を考えている。 {注}光が、ガラスの中にある電子と相互作用をし、反射される。その時に、位相は90°だけずれる。ただし、どの場所でも、同じ量の位相がずれるから、位相差を考える場合は、無視してよい。 ■ d=λ/2 Δ=λ の場合
▲
確率振幅の方向は、時計で表現すれば、 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
★ 薄膜の干渉 ★ |