物理 電磁気

2015/9-2012 Yuji.W

回折

◎ 回折 diffraction 複数の干渉 調和振動子

◇ベクトル<> 座標単位ベクトル<xu>,<yu>,<zu> 内積* 外積#
微分 y;x 2階微分 y;;x 
時間微分 y' 積分 ${f(x)*dx} 定積分 ${f(x)*dx}[x:a~b]
10^x=Ten(x) ネイピア数 e e^x=exp(x)
複素共役 z? 虚数単位 i e^(i*x)=exp(i*x)=expi(x) 〔
物理定数.2015/10

◇円を通った光の回折◇

◎ エアリーの円盤

◆ 位相のそろった光が円を通過する。十分遠い平面に、同心円状の明暗のパターンを作る。

レンズを通過した1つの光も、焦点には厳密には集まらず、小さな円になってしまう。

 円の直径 d 光の波長 λ 光の光の角度 a

■ sin(a)=1.22*λ/d  0<a<<1 で a=1.22*λ/d ★

◆ カメラ、望遠鏡 焦点距離 f 像の大きさ D レンズの直径 d F=f/d

光の波長 λ=5*Ten(-7)_m〔可視光(緑)〕

■ sin(a)=1.22*λ/d 一方 sin(a)=D/f

 1.22*λ/d=D/f

 D=1.22*f*λ/d=1.22*λ*F

可視光(緑)で D=1.22*λ*F1.22*5*Ten(-7)*F~6*Ten(-7)*F_m=0.6*F_μm

≫ D=0.6*F_μm ★

★ 個人の望遠鏡 d=0.1_m f=1_m ⇒ F=10 D=6_μm

★ 巨大望遠鏡 d=10_m f=10_m ⇒  F=1 D=0.6*Ten(-4)_μm

★ カメラ d=0.02_m f=0.01_m ⇒  F=0.5 D=0.3_μm

★ 人間の目 d=2cm f=4_cm ⇒  F=2 D=1.2_μm

※ 人間の視細胞の数 1億個

 1個当たりの面積=2Pi*0.01^2/Ten(8)=6.28*Ten(-12)_m^2

 1辺の長さ~root[6.28*Ten(-12)]~2.5*Ten(-6)_m=2.5_μ*m

◇回折格子◇

「電気双極振動子」-w^2*z0=A0 E0=q/[4(pi)(ε0)]

[+]極座標(r,a,b) z軸(鉛直方向)からの角度 a z軸に対しての回転角度 b

■ 原点に電気双極振動子(電荷 q z軸方向に振動 角振動数 w)
観測点からみた電荷の位置単位ベクトル <Ru>
電荷の変位 z=z0*cos(wt)
加速度 Az=-w^2*z0*cos(wt)=A0*cos(wt)
視線方向に対する加速度 Az*Sa=A0*Sa*cos(wt)

振動子から観測点までに届く時間差を考慮して、

 E(r,θ,t)=-(A0*E0/c^2)*Sa*cos[w(t-r/c)]/r ★

▲ 電場の方向 a方向(z軸に平行か交わる) r方向の成分は 0
 電場の大きさ ∝ Sa xy平面で最大、z軸方向で 0
 電場の大きさ ∝ 1/r

■ 磁場 <B>=-<Ru>#<E>/c
 磁場の方向 b方向(横) r方向の成分は 0
 磁場の大きさ ∝ 電場の大きさ

■ 1つの電気双極子は、振動する方向に垂直な面に、多くのエネルギーを送る。振動する方向に対しては、軸対称であって、どの方向にも同じ量のエネルギーを送る。

■ 回折格子 多くのスリットが狭い範囲に並んだもの。1cm幅に、10000本程度。間隔~Ten(-6)_m 可視光の波長より少し大きいぐらい。

スリットを通った光は、真っ直ぐに進むだけでなく、回折現象を起こし、広い範囲に広がっていく。それらの光は、同じ位相を持つ(または、ある決まった位相差を持つ)光だから、干渉を起こし、光が強くなる所、弱くなる所ができる。スクリーンを置けば、縞模様になる。

ガラスに多くの平行線のキズをつけると、その部分は光が散乱してしまう。キズがない部分は光が通る。多くのスリットを通ったことになる。

明るい所、暗い所ができる位置は、光の波長による量である。波長が違えば、縞模様の位置もずれる。自然光を入射すれば、虹色に分かれて見える。

CD の表面も、光を反射し虹色に見える。表面に細かい穴があいていて、いろいろな方向に反射され、いくつもの光が干渉を起こす。
CDの溝の幅=1.6*Ten(-6)_m~可視光の波長の数倍~回折格子の幅

{注}dvd の溝の幅=0.8*Ten(-6)_m~可視光の波長

■ 物理的には、複数の電極振動子による干渉を考えればよい。

▲ 横軸が位相差に比例する量 橙色の縦軸が光の強さに比例する量
回折格子では、位相差は、見る角度による量である。回折格子の正面(横軸0)では、光が強い。角度がずれると、小さなピークはあるものの、極端に弱くなる。だがまたある角度では、光が強くなる。その繰り返しになる。

◇n個の振動子の合成振幅◇

◎ n個の振動子の合成振幅を求めよう。

■ 等しい間隔で1直線上に並ぶ、振幅は等しい、n 個の振動子
 隣の振動子との位相差 φ ひとつの振動子の振幅 A
 n個の振動子の合成振幅(Ar) I0=|A|^2

 R=A*{cos(wt)+cos(wt+φ)+cos(wt+2φ)+cos(wt+3φ)+…
+cos[wt+(n-1)φ]}=(Ar)*cos(wt+…)

 A*{…} は、平面上のベクトルの x成分と考えると、1辺Aの正n角形の辺の一部と考えられる。その正n角形の外接円の半径を r とすると、

 A=2r*sin(φ/2)

また、Ar=2r*sin(n*φ/2) だから、

 (Ar)/A=sin(n*φ/2)/sin(φ/2)

波の強さの比は

 I/I0=sin(n*φ/2)^2/sin(φ/2)^2 ★

◇n個の振動子の合成振幅-2-◇

■ 横軸 φ/[2(pi)/n]=x ∝ 位相差 縦軸 I/[n^2*I0] ∝ 波の強さ

@=sin[(pi)x] A=sin[(pi)x/n]
B=@/(n*A)=(Ar)/(n*A) ただし、x=0 のときの値は 1
C=B^2=sin[(pi)x]^2/{n^2*sin[(pi)x/n]}
=[(Ar)/(n*A)]^2=I/(n^2*I0)

{注}位相差は、負の数であってもよいので、グラフは正の部分だけを表している。


n=100


n=10

■ C I/(n^2*I0) について、

 ●x=整数 φ=[2(pi)/n の整数倍] で、I=0 になる。その間に、小さなピークを作る。ただし、以下の時を除く。

 ●x=n*整数 φ=[2(pi) の整数倍] で、I=n^2*I0 になり、大きなピークを作る。式では、0/0 となってしまうので、lim を考えなくてはいけない。

 ●大きなピークの間には、小さいピークが、(n-2)個できる。

▲ n=2 の場合、

 (Ar)/A=sin(φ)/sin(φ/2)=2*sin(φ/2)*cos(φ/2)/sin(φ/2)=2*cos(φ/2)

 ▲ 位相差によって、-2〜2 の値をとる。 干渉の式と同じになる。

■ 位相差がない φ->0 の極限を考える。

 lim[φ->0]{(Ar)/A}=lim[φ->0]{n*sin(n*φ/2)/[n*sin(φ/2)]}
=n*1=n ★位相差のない振動子をn個合わせたものと同じ{あたりまえ!}

 lim[φ->0]{I/I0}=n^2

「n個の振動子の合成振幅」 隣の振動子との位相差 φ

■ 波の強さの比 I/I0=sin(n*φ/2)^2/sin(φ/2)^2

●大きなピークを作るのは、φ=[2(pi) の整数倍]

●I=0 になるのは、φ=[2(pi)/n の整数倍]
ただし、大きなピークを作る時を除く。

◇n個の振動子の合成振幅-3-◇

◎ n>>1 の場合 x=1〜2 の y の極小値、y の極大値を求めよう。

■ n>>1 の場合 y の分母は、分子と比べて、その変化は小さいので、分子が極小値を取る場合で近似する。

 x=1.5 のとき、

 y=sin[1.5(pi)]/{n*sin[1.5(pi)/n]}=-1/n*[1.5(pi)/n]
=-1/1.5(pi)~-0.21 y^2~0.04

▲ 小ピークは、大ピークに比べて非常に小さい事がわかる。

■ [Cと x軸に囲まれた面積]~[Cと x軸に囲まれた面積 x=0〜1]=0.5
変数を x から φ に戻し、x軸の負の方の部分まで考えると、

 大きなピーク1つ分の面積=2(pi)*n*I0

◇n個の振動子の合成振幅-4-◇

◎ 位相差がわかれば、波の強さはわかるので、後は、それぞれの現象で、位相差と、その現象を表す物理量との関係を調べればよい。

■ 等しい間隔 d で1直線上に並ぶ、振幅は等しい、n 個の振動子
 隣の振動子との位相差 φ 振動子群の法線からのずれの角度を a
 振動子の波長 λ

隣の振動子との、光の進む距離の差=d*Sa {表記}sin(a)=Sa
隣の振動子との、位相差=2(pi)d*Sa/λ

■ 大きなピークを作るのは、

 2(pi)d*Sa/λ=[2(pi) の整数倍] ⇒ d*Sa=(整数)*λ

▲ 隣との進む距離の差が、ちょうど波長分なのだから、1つ1つの波のピークが重なり合って、大きなピークになる。

▲ d*Sa=0 正面 0次
 d*Sa=λ 左右に1つずつ 1次
 d*Sa=2*λ 左右に1つずつ 2次

▲ d>λ という条件がないと、大きなピークは正面にしかできない。CD の溝の幅は、可視光の波長の数倍になっているので、斜めから見ても、虹色に見える{おもしろいなあ!}

■ I=0 になるのは、

 [2(pi)/n の整数倍]=2(pi)d*Sa/λ ⇒ d*Sa=(λ/n)*(整数)
 ただし、(整数)/n が整数になる時を除く(大きなピークを作る)。

▲ n個の振動子の両端の、進む距離の差=d*Sa*n=λ*(整数)
少しずつ位相のずれた波がたくさん重なり、ちょうど波長の整数倍ずれて終わるので、その合成振幅は、打ち消し合って、0 になる。

◇反射◇

◎ 光の反射を、多重振動子のモデルを使って調べよう。

■ 等しい間隔 d で1直線上に並ぶ震動子群に、角度 a1 で入射する光があるとする。位相差は、-2(pi)d*sin(a1)/λ

光が角度 a2 で反射されるとすると、その位相差は 2(pi)d*sin(a2)/λ

両方合わせて、位相差=[2(pi)d/λ]*[sin(a2)-sin(a1)]

■ 大きなピークを作るのは、

 (d/λ)*[sin(a2)-sin(a1)]=[整数倍]

■ d<λ の時、sin(a2)-sin(a1)=0 になるしかない。すなわち、両方で位相差がなければ、0次の大きなピークを作る。2つのコースがあり得る。

 1. そのまま、まっすぐ振動子群を通り抜ける。位相差はなくなる。

 2. 入射角=反射角 で反射する。

■ I=0 になるのは、(d/λ)*[sin(a2)-sin(a1)]=(整数/n)

I=0 になる角度は無数にある。その間には、小さなピークができる。

■ さらに、d->0 の場合、振動子がほぼ連続的にある場合を考える。
 n->∞ φ->0 n*φ=一定=Φ

 I/I0=sin(Φ/2)^2/sin[Φ/(2n)]^2=4*n^2*sin(Φ/2)^2/Φ^2

大きなピークは、ただひとつ、0次のピークである。その周囲には、I=0 になる角度、小さなピークを作る角度が無数にある。

  回折  

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