▲槍ヶ岳&大キレット030810▲


八ヶ岳から 2002年

☆概要☆

■ あこがれの大キレット、行ってしまった

[ 日時 ] 2003/08/10(日)-13(水)

[ コース ] <1日目> 上高地-横尾-槍沢ロッヂ

<2日目> 槍沢ロッヂ-槍ヶ岳-槍岳山荘

<3日目> 槍岳山荘-天狗池-横尾尾根-南岳-南岳小屋

<4日目> 南岳小屋-大キレット-北穂高-涸沢-横尾-上高地

[ 交通 行き ] さわやか信州号 新宿都庁下23時発。5時頃、沢渡(さわんど)着、乗り換え。5時35分上高地バスターミナル。

[ 交通 帰り ] さわやか信州号 上高地16時発。21時30分新宿。

☆1日目☆

■ 535上高地着。12℃。605歩き始め。

650明神。13℃。700発。

梓川で30分間昼寝。

梓川沿いは、頁岩(けつがん)で、1億5000万年前に地下数千メートルの海溝で、泥が堆積してできた物。上高地の土台。

835徳沢園。16℃。850発。

945横尾。200人ぐらいいた。涸沢に向かう人が多いようだった。1000発。

1055橋。18℃。1110発。

1155槍沢ロッヂ。木々の隙間から槍ヶ岳が見えた。1年ぶりの槍ヶ岳の姿だ。ラーメン800円。ただし1000-1300のみ。

風呂、この日は、男性1400〜、女性1530〜。早めに着かないと、入浴できない。

☆2日目☆

■ 430起床。505発。曇り。

林の中。はでな花はあまり好きではないが、クルマユリはいいなあ、好きだなあ。

槍沢ロッヂ505

535ババ平。霧10℃、雨具を着る。545発。

605大曲(標高2094m)610発。

雪渓あり。

705中ノ沢、雨の中、朝食。720発。

740氷河公園分岐(標高2348m)

820グリーンベルト。雨。840発。

930殺生ヒュッテ分岐945発。

1035槍岳山荘。

霧の中、槍ヶ岳を登ることにした。1450発。20分で頂上へ。

槍ヶ岳頂上は、やはりいいなあ。周りは何も見えないが、なんかいいなあ。後ろの2人は、北鎌を登攀してきた、富山大学山岳部の2人。ザイルを出して登ってきたそうな。

夕方、霧が晴れ、登っていく人がいた。

☆3日目☆

■ 槍岳山荘、夜中、ベッドの横の窓枠をガタガタをならす雨と強風。5時起床、雨の中出発する人が大勢いる。私はまた寝る。7時半、「掃除をしますので、出発して下さい」の放送。まだ、強風、雨なのに。

8時10分出発。天気予報は、午前雨、午後曇り。南岳に向かって歩き出す。この稜線は2回目。強風、霧で視界10mくらい。危ないかなと思い、引き返す。とりあえず槍沢を下山することにした。

8時40分殺生ヒュッテ分岐。10分休み。8時50分発。雨が上がってきた、よしよし。

10時氷河公園分岐、標高2348m地点。10℃、曇り。弁当、ちまき、おいしい。

いろいろ悩んだが、天狗池、南岳小屋に登り返すことにした。明日、大キレット、北穂高岳、涸沢、上高地のハードコースになる。1050発。

カールをトラバース。

1130天狗池。ここは、去年の楽しい思い出がある。池は、去年は雪渓が一部しかなく、池に写る槍ヶ岳が美しかったが、今年は水面が見えないほど。ガスが出ていて槍ヶ岳は見えなかったのだが、ほんの10秒ぐらい霧が舞い上がり槍ヶ岳が見えた、ラッキー。1145発。

大岩ごろごろを登る。岩の中に小石が混ざる礫岩(れきがん)礫岩。

1220横尾尾根のコル。涸沢側の屏風岩や前穂高が目の前に。前後まったくひとなし。1230発。

1325稜線、分岐着。風が強い、霧。9℃。1335発。

南岳頂上直前で、雷鳥と出会う。近寄っても逃げない。1m50cmくらいまで寄った。茶色の羽の下は、体中真っ白な羽。

5人家族の雷鳥のようであった。こんな所で一家で暮らしているんだなあ。葉を食べたり、雪渓をつついたりしていた。

1405南岳小屋着。夕方になり、霧が晴れた。明日の目標、大キレット、北穂が見える。キレットが雲の通り道であることがよくわかる。

山の夕焼け。見たいと思っていたものを見ることができた。

☆4日目☆

■ 南岳小屋で4時に起きた。小屋前の寒暖計は-2℃。4時40分発。

日の出直前の、青い満月が、私を迎えてくれる。空が青く染まっていて、月が冷たく光っていて、素敵な瞬間。山の写真はほとんどそうなのだろうが、シャッターチャンスはほんの一瞬。このように見えるのは、日の出前の、ほんの数分間だけだろう。

*** 予習 大キレット ***

水平距離1km

標高 南岳小屋3000m 最低鞍部2748m 長谷川ピーク2841m 北穂高小屋3106m 250m下って、350m登り返す

コースは、ざっと3時間

@南岳から崖を200mほど下りる
A稜線部のわりと平坦な道
B最低鞍部 南岳小屋と北穂高小屋のちょうど真ん中
C100mほど登って、長谷川ピーク
DA沢のコル
E飛騨泣き
F北穂高への標高差ざっと100mの最後の登り

当日は、快晴、風なし、私を追い抜いたのがひとり、すれ違ったのが合計10人くらいという、絶好のコンディションであった。

すぐ日の出。オレンジ色に染まる大キレット。さあ、行くぞ。緊張感はあるが、冷静だったかな。今日1番早い挑戦者だったはず。去年は、獅子鼻の所で1時間も座って、景色を見た。いつか、大キレットに挑戦したいと思った。山歩き2年目で挑戦するとは、思わなかった。右膝の痛み少々、これから3時間、もってくれよ。Tシャツ2枚+シャツ+ウインドブレーカ代わりの雨具。

獅子鼻の右側(西側)に回り込み、ざっと200m崖を下りる。槍ヶ岳の三角おむすび部分の標高差は100mぐらいだから、その約2倍。時間も2倍かかり、40分ほど。槍ヶ岳頂上から肩まで下りる緊張感を2セットという感じ。朝5時で体も動かず、もたもた下りる。

520稜線。飛行機が、西に向かって行った。5時半頃、北アルプスを通過する飛行機、どこからどこへ。525発。

30分ほど、稜線上を歩く。左右切れているのだが、恐怖感はない。

さあ長谷川ピーク。ピークという名前にだまされてはいけない。標高差100mぐらいあって、立派なお山。6時頃、通過した。南岳小屋から1時間20分くらいかかっている。

岩の2〜3mおきにペンキの指示があるので、普通の人はコースを間違えることはない。稜線の下2〜3mのトラバースの道を、私は間違え、垂直に登り、稜線の上に顔が出て、その下は飛騨側(写真の左側)数百mの崖という所に出てしまった。えー、ここを、どうやって行くのかと思ったら、ちょうどいいタイミングで追い抜かしてくれたベテランが、こっちこっちと正しいコースを教えてくれた。

このあたりの岩石は、たぶん礫岩(れきがん)なのだろう。

ピークを過ぎてすぐ、涙目で撮影したもの。刃の上を、左右にミシンで縫うように渡って来る。まあよくこんな所を来たものだ。

あとで、ここを通過した人に、あそこは恐かったですよねと言ったら、女性2人は「いえ別に」、男性2人は「恐かった」。

写真は、ピークを通り過ぎてから、南側の多少高い位置から撮影したもの。右側が東、信州側。

長谷川ピークでこんなに恐い思いをして、これから行く飛騨泣きではどうなるのだろうと不安になる。

長谷川ピークを過ぎた後、さらに小さなピークを越える。

620A沢のコル。出発してから、1時間40分かかっている。岩に「A沢のコル」書いてある。5〜6人座れるスペースがある。15分間休憩。呼吸を整え、心拍数を落とす。さきほどのベテランとお話。他にルーマニアから来て、福岡で高校の西洋史の先生をやっている人とおしゃべり。635発。

また四つんばいで登る。長谷川ピークのあとなので、何でもない登りに思える。30分弱で、7時頃飛騨泣きへ。

飛騨泣きのこちら側は、3人ぐらい立てるスペースがあり、ちょっと一呼吸、他人が下りてくるのを見る。

岩の西側の面を、左下から、右上に登る。鎖や鉄の杭をつかむのに必死で、あまり下を見る機会がなく、恐怖感を感じるひまがなく、あっさり通過。ただし、北穂高から下って来ると、はるか続く崖を見ながら下りるわけだから、恐いだろう。写真のお二人は、触れ違う時、心なしか涙目でいらっしゃったような。

このあたりから、溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)という、堅い岩石なのだろう。

720北穂高直下。朝日を浴び、汗が出てくる。雨具を脱ぐ。

さあ最後の壁、四つんばいになって、標高差100mくらいを登る。北穂高小屋、ドラム缶が見える。2〜3mごとにペンキあり。標高3000mでの崖登り、空気圧は下界の70%。

755北穂高小屋。やったー、大キレット制覇。にこにこ笑顔がこぼれてしまう。テラスの人もやりましたねえという笑顔で迎えてくれる。去年、南岳の獅子鼻で1時間も大キレットを見て、いつかはあそこを通過できるようになりたいと思った。その夢がかなってしまった。へへへ、やったぜ。15℃。ドリップコーヒー400円。ちょっとぬるかった。

快晴、360度の展望。槍ヶ岳も見える。

快晴・無風の絶好のコンディション、朝早かったのですれ違う人が少なかった事など、とても恵まれた大キレット通過であった。右膝もなんとかもってくれた。天気も、11日、12日は雨、その前は台風10号、14日はまた雨、晴れたのは、この日2003年8月13日だけだった。12日にあきらめて下山しないでよかった。

いつまでもここにいたかったが、今日中に東京に帰る予定、15時30分に上高地に着かないと、バスに乗り遅れる。8時30分発。

涸沢へ下る。かなり多くの人とすれ違う。北穂高は360度の展望で人気があるのはわかるが、安易な気持ちで登山している人が多いのではないかなと心配になった。

1025涸沢小屋。1時間55分かかった。疲れているからかなあ、ちょっと遅いぞ。

小屋のテラスにユーミンに似た、サングラス姿の女性がいた。1035発。

テント場で、穂高が溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)で、できているという証拠になる岩をみっけ。火山が噴火し、軽石が混じり、その上に数千mも堆積し、軽石がつぶれ、レンズ状になった物。本質レンズと呼ぶそうだ。

ひたすら下山、今日は8月13日、朝上高地に着いた人がそろそろこのあたりに、多くの人たちとすれ違う。

1145本谷橋。ここまで1時間10分、すれ違い待ちが、思ったよりも影響しているのか。1150発。

すれ違い多数。

1245横尾。涸沢小屋から2時間10分。缶コーヒー250円。1255発。

15時30分には上高地に着きたい。あと2時間半で、着けるかな。朝4時40分から歩いているし、大キレットも通過してきたし、右膝も痛いし…。

1340徳沢。横尾から45分。1245発。

1425明神。1435発。

右膝は4日間、もってくれた。無事下山できそう。山の神様、ありがとう。

1515小梨平。間に合った。小梨平のトイレを拝借、洗顔、荷物整理。ひげは4日のばしっ放し、風呂は3日間入ってないぞ。15時30分過ぎ、さわやか信州号キップチェック。16時発。

 槍ヶ岳&大キレット 

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