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<参考>「今昔物語集」小学館 初版2008年 ◎ 「今は昔、」で始まる、平安時代末期12世紀前半の説話集。インド、中国、日本の3地域の話。日本編は、仏法部と世俗部と分かれる。小学館版は、現代語訳と原文が掲載されている。 |
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◎ おもしろい。よくできたドラマを見ているような感じ。この話はどう展開していくのだろう、ワクワクドキドキ。毎週見ちゃうよなあ、視聴率高し! 文章もリズムがあり、読みやすい。 ■ 「源頼信の子頼義が、馬盗人を射殺す」 河内の前長官頼信(よりのぶ)が、東国より馬をゆずってもらう。盗人が雨にまぎれ、馬を盗み出す。頼信自ら追いかける。子の頼義(よりよし)も追いかける…。 ハラハラドキドキ、次のシーンはどうなるのだろう。父も子もかっこいい。武士なんですな。余計な事は言わない。信頼しあっている。気配りできる。 「兵(つわもの)の心ばえは、かく有りけるとなむ、語り伝えたるとや。」 ■ 「美作(みまさか)国の神、猟師の謀(はかりごと)により、生贄を止める」 美作(みまさか・岡山県)の中山神社のご神体は猿であった。毎年、生贄として、若い娘を差し出す。東国から、犬を使って猟をする者が来た…。 ヒーロー物。紙芝居で演じると、ぴったりかな。 ■ 「猟師の母が鬼になり、子を食おうとする」 猟師の兄弟が山に猟をしに入った。木の上で、じっと獲物を待つ。すると、上から、手が出てきて、兄の髪をつかんだ…。「極めて怖ろしき事なりとなむ、語り伝えたるとや。」 ■ 「信濃守藤原陳忠(ただのぶ)が御坂に落ち入る」 陳忠が、信濃での任期を終え、京都に戻る時、御坂峠にかかった。細い道で、馬ごと谷に落ちた。…「受領は倒れた所で土をつかめ」…。 あさましい官僚達を風刺した話。 ■ 「近衛の舎人の重方(しげかた)、稲荷詣で女に会う」 皇居の近衛兵たちが、伏見の稲荷神社にお参りする。その中の一人、茨田重方(まむたのしげかた)が、きれいな女に声をかける。「私の妻の顔は猿そっくりで、下品で…。」…。 今なら、ワイドショーやバラエティのかっこうの話題になるだろう。いい笑い者だ。さて、実名を上げていいのだろうか。 ■ 他に、陰陽師安倍晴明の話、乳母捨て山の話、きのこの舞茸(まいたけ)の話などもある。 |
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◎ 一読すると仏教ありがたやの話なのだが、こじつけた感じもする。そもそもの話は、仏教に関係なかったのではないかという気がする。 ■ 「聖徳太子、天王寺を建て給う」 聖徳太子が、仏教反対派の物部守屋(もののべのもりや)と戦う。四天王(持国、増長、広目、多聞)に祈願し勝利する。四天王寺を建てる。 ■ 「地蔵菩薩、小僧に変じて矢を受ける」 近江に、検非違使(けびいし)の平諸道(たいらのもろみち)の氏寺があり、そこに、地蔵菩薩の像があった。諸道の父が戦にいく。矢を射尽くして窮地に立つ。「わが氏寺の三宝、地蔵菩薩、我を助け給え」と念ずると、一人の小僧が現れ…。 ■ 「六宮の姫君の夫が出家する」 京の六宮という所に、美しい姫が住んでいた。両親が亡くなり、さみしく暮らしていた。乳母の計らいで、役人の息子と恋仲になる。が、その彼は、父親と共に東北へ赴くことになった。遠距離恋愛もままならない。彼は地元の姫と結婚する。何年かして、京に戻ることになった。すぐ、六宮に向かう。かつての家は、荒れ果てていた。尼がひとりいた。かつての姫の侍女であった。今は散り散りになり、姫の行方はわからないと言う。探し歩く。西の京に行ってみた。急に雨が降ってきた。雨宿りをしようと、ある家に立ち寄る。窓の中に人の気配がする。そっと近づきのぞいてみると…。 悲しい話です。 ■ 「染殿の后、天狗に惑乱させられる」 染殿の后(そめどののきさき)は、文徳天皇の母、時の関白の娘であった。たたりに悩んでいたので、金剛山の聖人(しょうにん)を呼び祈祷(きとう)させたところ、治った。聖人は、ふとしたことで后を目にし、恋に落ち、恋に狂う。かなわぬ恋に、聖人は鬼になってしまう…。 天皇様お母上、衝撃のスキャンダル。鬼の描写がすごい、迫力ある。 ■ 「道成寺の僧、法華経を写して蛇を救う」 和歌山県のいなかの民家に、熊野詣(くまのもうで)に向かう二人の僧が、宿を借りた。女主人が、若い方の僧を見初め、言い寄る。僧は、帰りに寄るからと約束し、熊野に向かう。いくら待っても、僧達は帰ってこない。怒り心頭の女は、毒蛇になり追いかける。僧は、道成寺(どうじょうじ)に逃げ込み、鐘の中に隠れる。…。二匹の蛇のために、法華経を供養した。…。 能や歌舞伎でおなじみの「道成寺」。女が何故にこうもこの僧に執着するのか、前世からのしがらみ、因果応報というヤツなのか。 |
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