Yuji.W 2012/ |
◇腕にかかる力◇ |
■ボルダリング ガストン 足ブラ 前傾壁 |
◇ガストンgaston◇ |
■体を斜めにした時に、手にはどのぐらい力がかかるのだろう。 体重を片手と片足で支える。正方形の右上の頂点に手、左下の頂点に足、重心は正方形の中心、体は右上がり45°とする。 手による力の横向き成分がない時、H=F=M/2 横向き成分があるところがミソで、おもしろいことが起きる。 上下方向のつりあい M=H+F @ 横方向のつりあい h=f A 上下方向、横方向がつり合っていても、力のモーメント(回転させる力)がつり合わない場合がある。時計回りに回転させようとする力のモーメントと、反時計回りに回そうとする力のモーメントが等しくならないといけない。 力のモーメント(回転させる力)の回転の中心を重心とする(どこに中心をとっても結果は同じになる)。重心(正方形の中心)から力までの距離をかけなくてはいけないのだが、H,h,F,fのその距離は等しいので、力だけ考えればよい。 重心を回転に中心にとったので、体重Mのモーメントは0。時計回りの力は、F(足による上向きの力)だけ、反時計回りの力は、残りの、H,h,fだから、 F=H+h+f B @、A、Bより、 (手が体にかける力)^2=H^2+h^2=2*(h-M/4)^2+M^2/8 手が負担する力をなるべく小さくしたければ、 h=M/4 とすればよい。このとき、 H=M/4 F=3*M/4 f=M/4 (手にかかる力)=root[H^2+h^2]=M/root(8)=0.35*M 体が右斜め45°に傾いている時、手を真下に引いてはいけない。右斜め下(体の軸に直角)に力をかけると、一番楽になり、その力は体重の 1/3 ぐらいになる。手が得した分は、もちろん足が負担することになる。 |
◇足ブラ◇ |
■両手だけで体重を支える時に、かかる力を調べよう。 2つのホールドは水平の位置にあるとする。リーチはほぼ身長と同じであるだろうから、170cmで計算した。 まず簡単な例を、2つ。 <1>1つのホールドに両腕で真下にぶら下がっている時に、片腕にかかる力は体重の半分である。 <2>腕と水平線の角度が30°の時は、片腕にかかる力はそれぞれ体重と同じになる。両腕で2倍。 ホールドの距離x、腕と水平線の角度a、片腕にかかる力F とすると、 2*F*sin(a)=M => F/M=2*sin(a) ただし cos(a)=x/170 以下、計算結果。 ホールドの距離x、腕と水平線の角度a、片腕にかかる力(体重の何倍か)、両腕にかかる力(体重の何倍か)、を表す。 150cm 28° 1倍 2倍 私は、片腕で自分の体重を支えるのが精一杯なので、28°、150cmまでの距離のホールドしか取ってはいけないということ。例えば、160cmのホールドを取ると、体重の1.5倍の力が片腕にかかるので、取れても支えられないということだ。 165cmのホールドだと、自分と同じ体重の人をおんぶして、片腕で支えるということで、普通の人はできないと思う。 最も危ないのが、フットホールドがあって、リーチぎりぎりのホールドを持っている場合だ。そのままなら、問題ないが、不意に足がスリップした場合、突然自分の体重の何倍もの力がかかる。指、肘、肩を痛める原因になる。だから、そういう場合は、すぐホールドを離し、落ちたほうが良いということだ。最悪なのが、ポケットなどで、抜こうと思っても、指がひっかかって抜けないことがある。パキることになる。 |
◇斜めの位置にあるホールドでの足ブラ◇ |
■水平の位置にある2つのホールド、腕の角度がそれぞれ水平線より30度の場合、 次の場合を考えてみる。2つのホールドを結ぶ直線は、水平線に対して右上がり30度。腕の角度はホールドを結ぶ直線より30度ずつ。左腕は水平、右腕は水平線より60度の角度になっている。 右腕にかかる力=(体重)*2/root[3]=1.15*(体重) 左腕にかかる力=右腕にかかる力/2=0.58*(体重) |
◇前傾壁で腕にかかる力◇ |
■前傾壁で、片手、片足で体重を支える。なるべく手にかかる負担を小さくしたい。 ・手のホールド、重心、足のホールドは床に対して垂直な1平面上にある。 ・手は引っ張る力のみで、押す力はない。(ガストンを考えない。) ・足は、上に押す力だけ考える。トォフックを使って、体を下に引っ張らない。(これはこれで、つり合いを保つのに有効な方法だが、その分だけ手に負担がかかるので。) つり合いの条件(鉛直方向のつり合い、水平方向のつり合い、力のモーメントのつり合い)を考え、手にかかる力をなるべく小さくなるようにすると、次のようになる。 (手の力の水平成分)=(足の力の水平成分)=0 後は、鉛直方向のみのつり合いを考えればよいので簡単。 ボルダリングの教科書に、よく、「前傾壁では体を壁から離し、足下を見やすくせよ。」と書いてあるが、それは、手のホールドがガバで、余裕がある場合に限られることがわかる。手にかかる力を小さくしたい場合は、重心をなるべく壁に近づけた方がよい。そんなことは、クライミングの写真を見れば明らかなことで、きびしそうな所では、皆さん壁に張り付いている。 |